半導体業界と
SUMCOの将来はいかに
半導体は誕生してから今日までの間に、ものすごいスピードで技術革新を遂げてきました。今後、半導体業界がどのような道筋をたどるのかを分析することで、SUMCOの将来的な姿を考えていきます。

【時代の変革を支える半導体とシリコンウェーハ】
1947年に米国ベル研究所でバーディーン、ブラッテンによって、半導体の礎となるGeを用いた点接触型トランジスタが発明され、1957年にLSIと言われる「集積回路」が米国テキサス・インスツルメンツ社のキルビーやフェアチャイルド社のロバート・ノイスにより発明されてから、約70年近く経ちます。その間、半導体の集積度は飛躍的に進化を遂げ、その応用分野はトランジスタラジオに始まり、PCや携帯電話~スマートフォンと多岐にわたり、全世界のあらゆる場所で使われ、私たちの生活・インフラを支えています。最先端を走るTSMCのロジック4~5nmデバイスでは、1.71億個/mm2のトランジスタが集積されるに至り、iPhone15 proの頭脳を担うプロセッサには総計190億個のトランジスタが使われていると推定されています。AIのさらなる進化、データ通信量の増加、5G・6Gスマートフォンの普及、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、ハイブリッド車・電気自動車の普及、自動運転の進展、省エネ社会・クリーンエネルギー社会の実現などに向けて、半導体の微細化・高精度化が進展し、半導体業界は成長しています。 この半導体業界の成長に伴い、シリコンウェーハの出荷面積は1990年から2023年の33年間で約7倍に成長し、その年平均成長率は6.1%に達していることから、シリコンウェーハは今後も成長産業であり続けると考えられます。
様々な電子機器・自動車・スマートフォンに使われる半導体は、樹脂にモールドされた“黒い小さなパッケージ”にしか見えませんが、その中にある半導体チップの土台となるのがシリコンウェーハです。電子機器の頭脳(MPU)、記憶(メモリ)のみならず、五感を感じるセンサー、電力を変換・制御するデバイス等を実現するためにも役立っており、社会生活に欠かすことができない材料です。最近では、“持続可能な世界を実現する開発目標”であるSDGsについても、シリコンウェーハは先端ロジック半導体、パワー半導体、さらにはセンサーなどの半導体を通じて、SDGsの達成に貢献しています。半導体製品のナノテクノロジーと言われる超微細化技術の進化を支えるためには、シリコンウェーハの技術を進展させる必要があり、半導体製品の進化を支えるのがシリコンウェーハと言っても過言ではありません。
シリコンウェーハ技術は、超高純度イレブンナイン(99.999999999%)の多結晶シリコンを原料として、独自の結晶育成技術によって、半導体デバイスに影響する結晶欠陥やデバイスの電気特性を最適化すべく不純物を高度に制御しつつ行う、単結晶引上げから始まります。そして、半導体デバイスの高性能化・高集積化に伴い、シリコンウェーハ表面にはナノレベルでの高平坦度・高清浄度が求められます。このような多様なニーズに応えるため、ウェーハ加工全プロセスに亘り超精密な加工プロセスを用い、高感度検査システムにより品質を担保された超高平坦度・超高清浄度シリコンウェーハを製造しています。1960年代から現在までの60年余りに亘り、シリコンが他の材料に取って代わられることはなく、常に最先端半導体を支えてきています。すなわち、シリコンは常に半導体の進化に合わせて、その時々にいろいろな技術課題を克服してきており、言うなれば “温故知新”を具現化する材料であり、70年の半導体歴史にあって非常に稀有な材料と言えます。
SUMCOは住友と三菱のシリコンウェーハ事業を統合して設立し、2024年に設立25周年を迎えた古くて新しい会社であり、多様な技術と文化で価値を創造する集団です。企業が社会に貢献し、永続的に繁栄していくためには、リーディングカンパニーである続けることが重要です。そのためにはドッグイヤーと称されるスピーディな半導体産業において、常にお客様の次世代製品の開発・ニーズに対応すべく、超微細なナノスケールの世界で技術・生産の開発に取り組み、その高く安定した品質、最先端の技術開発力、柔軟できめ細やかな技術サポートから製品の安定供給を実現し、お客様の満足度を高めることが重要です。
株式会社SUMCOは、”SUMCO Vision”として4つの項目を掲げています。
- 技術で世界一の会社
- 景気下降局面でも安定して収益をあげる会社
- 従業員が活き活きとした利益マインドの高い会社
- 海外市場に強い会社
お客様の満足度を高めるために、上記の中でも”技術で世界一の会社”であることが重要です。最先端分野でお客様からファーストコール(信頼関係に基づき真っ先にご要望、相談を頂けること)を受けることはもちろんのこと、お客様の先端開発に先んじて最先端デバイスに最適なシリコンウェーハを提案するために、技術開発、生産性の改善に注力しています。さらには、技術開発において国内・海外大学との共同研究や若手技術者の大学留学などを通じて、人材育成にも注力しています。このようにSUMCO Visionを推進し続け、高度な技術・品質が求められる最先端ロジック用300mmエピタキシャルウェーハにおいて世界ナンバーワンのマーケットシェア、海外売り上げ比率8割弱を達成しています。
最後に
SUMCOのテレビCMの中で以下のナレーションが流れます。
「半導体の進化が世の中を変える。時代を変え、私たちのこれからを変える。次の100年、半導体でどう変わるだろう。半導体シリコンウェーハのSUMCO」
「望む性能が欲しければ半導体を進化させるしかない、半導体を進化させるには半導体シリコンウェーハを進化させるしかない。テクノロジーの根源を作る半導体シリコンウェーハのSUMCO」
“半導体の進化をシリコンウェーハの最先端技術で牽引し、世界の未来を創っていきましょう。”