経営リスクへの取り組み

事業等のリスクについて

経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、合理的に予見することが困難であるものについては記載しておりません。

なお、これらの記載は、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された項目以外のリスクも存在します。また、以下の事項のうち将来に関する事項は、2020年12月末日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

1. 事業環境について

当社グループが製造及び販売するシリコンウェーハは、パソコン、スマートフォン、タブレット型端末といった携帯端末、自動車、及びその他民生品を含む各種製品に使用される半導体基板等に用いられることから、急速な技術革新の進展や製品の陳腐化、製品構成の急速な変化、製品価格の下落といった半導体やその周辺産業に特徴的な諸要因の影響を受けることがあります。

当社グループでは、こうした短期的に発生しうる事業環境の変動に対し、市場動向に迅速かつ的確に対応できる企業体質の構築を図るとともに、財務体質の一段の強化に努めております。

2. 当社グループの製品について

当社グループの製品が用いられる半導体の価格は、製品の市場投入後の普及・販売数量拡大等の影響もあり、一般的に低下する傾向にあります。急激な需給バランスの悪化やその他の事由により想定以上に製品の販売価格の低下が生じる場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループにおいては、AI技術の活用等による生産性向上や継続的な技術改善による歩留改善等の合理化により、当該製品価格の低下を想定した事業計画を策定し、市場変動への対応力を強めております。

なお、上記以外にも、重大品質クレームの発生による販売量・シェア低下や、大規模設備事故、もしくはウイルス感染等の事由に起因する大規模システム障害等による製造の中断や大幅な遅延等が生じる場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し、当社グループでは、顧客との継続的なコミュニケーションによる品質要求変化のタイムリーな把握及び継続的な技術改善、定期的な生産設備に対する予防保全の実施、また大規模システム障害対策としてウイルス対策ソフトの定期的な更新やUSBメモリー等の持ち込み制限等により、当社グループ全体の生産能力低下や製品の供給が困難となるリスクを未然に回避するよう努めております。

3. 顧客の与信管理について

当社グループは、顧客の与信管理には万全を期しておりますが、多額の売掛債権を有する顧客の財政状況が悪化し、期日通りの支払いが得られない場合、また倒産により売掛債権の回収が不能になる場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクは一定程度、危険な兆候を予見することは可能であると認識していますが、必ずしも全てのリスクを回避できるとは言えません。

当社グループは、定期的に信用調査を実施し、顧客の財務状況や事業の安定性のリスクを管理する体制を構築しております。

4. 原材料の調達について

当社グループは、シリコンウェーハの主要原材料である高純度多結晶シリコンについて、世界の主要な多結晶シリコンメーカーとの間で長期購入契約を締結し、原材料の安定調達を図ってまいりましたが、長期購入契約締結時の需要予想と消費見通しに乖離が生じたことから余剰在庫を保有しております。当該契約が終了し在庫量が適正な水準に回復するまでの間は、原材料コスト低減の機会が制約される可能性があります。また、原材料在庫を含む「原材料及び貯蔵品」の見通しについては、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3.経営環境及び対処すべき課題」に記載したとおりでありますが、事業環境の著しい変化等により、消費量が変動した場合、あるいは、会計上の対応が必要となる場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

以上の原材料調達にかかるリスクを鑑み、当社グループでは原材料在庫水準の適正化に努めております。

5. 主要製造設備の安定調達について

当社の主要製造設備には研磨機等、短期間で他の設備メーカーへの切り替えができない設備があり、これらの円滑な調達が困難な場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、製造設備の納入期間の長期化等により、設備投資の製造への寄与が遅れる場合には、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。さらに、急激な景気変化、自然災害、感染症の拡大、地政学的な変化に伴う輸出制限等により製造設備の円滑な調達が困難な場合には、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクの顕在化に備え、製造設備の安定的な調達を実現するため、当社グループでは、主要な装置サプライヤーとの協働による関係強化構築や中長期安定供給に関する情報共有化等により、サプライチェーン途絶のリスク回避策を講じております。

6. サプライチェーンについて

当社グループにおける諸資材の調達について、経済環境の急激な変動、自然災害及び設備事故等によりサプライヤーが操業停止又は倒産等の事態に陥った場合、諸資材の調達に支障を来たし、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、複数のメーカーからの購買や在庫の積み上げ等、調達途絶リスクを回避する施策を講じております。

7. 設備投資について

当社グループは、市況変動や顧客要求の変化等、半導体業界を取り巻く環境の変化により、将来的な設備能力の余剰化や既存・導入設備の陳腐化等の事由が生じた場合、事業展開や経営成績等に影響を受ける可能性があります。

こうした設備投資に起因するリスクを防ぐため、中長期的なマクロ経済動向に基づく需要のチェックや、顧客との継続的なコミュニケーションによる顧客技術動向の把握等に基づき、設備投資を実施しております。

8. 資金調達について

当社グループの金融機関からの借入の一部およびコミットメントライン契約には財務制限条項が付されており、財政状況の著しい悪化によりその財務制限条項に抵触し、当該契約の解約および当該借入金の返還請求を受け期限の利益を失った場合には、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。

また、金利水準や市場環境等の要因により当社グループが希望する時期又は条件により資金調達が実行できない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、対応策として、十分な手元流動性の確保に努めることに加え、新規借入については、足元の低金利を活用した固定金利建長期借入を主体とすることでリスク低減を図っております。今後も金利水準や市場環境等を踏まえた資金調達を行うとともに、取引先金融機関との良好な関係の維持を図ってまいります。

9. 技術及び研究開発について

半導体業界は、急速な技術革新が進む業界であり、半導体の高集積化、微細化や半導体用途の多様化、高度化等、当社グループのシリコンウェーハに対する顧客からの要求品質は多岐に亘り、かつ、高度化しております。当社グループは、かかる顧客からの要求に応えるため、中長期的に需要の拡大が見込まれる300mmウェーハに関する技術、品種別ではエピタキシャルウェーハ等の高付加価値ウェーハ関連技術、さらに、次世代ウェーハ製品の関連技術等に重点をおいた研究開発活動を行っております。

しかしながら、研究開発活動において想定した効果を得られない場合や、他社に比べ技術開発が遅れた場合には、業界における技術進歩への対応に支障が生じ、顧客の要求に適応することが困難となり、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

高度化する顧客要求に応えられるウェーハ製品をタイムリーに供給するには、常に半導体業界の技術動向や顧客ニーズの把握に努め、さらに、ニーズを先取りした研究開発を推進する必要があります。当社グループでは、半導体業界や顧客の技術動向を整理し、研究開発部門に適時インプットする体制の強化を図るとともに、学会等の技術情報や大学との共同研究も活用しながら最先端の研究開発を行っております。また、高度な研究開発活動の遂行の為には、技術者の能力が重要であることは言うまでもなく、きめ細かな教育プログラムにより技術者育成を行っております。他社に遅れを取らず、顧客要求に応えるため、これらの体制強化を推進しております。

10. 知的財産権について

当社グループは、シリコンウェーハ業界において競合他社に対抗していくためには、特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると認識しており、国内外において出願中のものを含めて多数の特許を保有しております。

しかしながら、知的財産権の保護が不十分であることにより技術的優位性を保てなくなるリスク、また当社が認識しない第三者の特許が既に成立している場合において、当該第三者より知的財産権を侵害しているとの事由により、使用差止及び損害賠償等の訴えを起こされるリスクがあり、これらのリスクが顕在化した場合は、営業、生産、販売面、財政状態を含む当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは、他社の特許調査によりリスクの予見に努めるとともに、知的財産権の戦略的な確保、他社の特許権を回避する代替技術の開発等によりリスクを最小化するように努めています。

11. 海外展開について

当社グループは、全世界の主要な半導体メーカー等に対してシリコンウェーハを供給しており、日本国内に加えて、北米、欧州及びアジアにそれぞれ拠点を設置し生産・販売活動を展開しております。当社グループのこれらの生産・販売活動においては、各国及び各地域の経済・政治情勢、紛争、テロや災害等の発生により、工場操業の低下などの影響を被る可能性があります。また、税制、為替、関税、輸出入規制など各種規制の大きな変更等により、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、カントリーリスクの検討、複数拠点での生産体制の確立により機動的な生産配分を可能とし、国際情勢の変化に伴うリスクのヘッジに努めております。

12. 法規制について

当社グループは、事業活動を展開している世界各国において、労働、租税、輸出入規制、製造物責任、競争法、環境、事業活動や投資を行うために必要な政府の許認可規制等の各種法規制の適用を受けております。今後、これらの法規制が強化され、又は法規制の運用・解釈が厳格化された場合、法規制遵守のための費用増加や当社グループの事業展開の制約により、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、社内規定に基づき、事業遂行上関係する各種法規制の主管部門を定め、各主管部門が法規制の制定・改廃状況を継続的にモニタリングし、迅速に対応する体制を構築することで、法規制の強化等のリスクによる影響を最小限に抑えるよう努めております。

13. 為替相場の変動について

当社グループは、製品の輸出等において外貨建て取引を行っており、また、連結財務諸表を作成するにあたって海外連結子会社の財務諸表を円換算していることから、為替相場の変動は当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、外貨建予定取引の為替変動リスクを回避するため、定期的に為替予約取引を行っております。

14. 環境規制等について

当社グループの事業は、主に製造拠点において、エネルギーの使用、排気ガスの排出、排水の排出、有害化学物質の使用及び保管、産業廃棄物の廃棄、土壌及び地下水の汚染の検査及び浄化等、環境に関する多くの国内外の法的規制を受けており、これらの規制に基づき一定の費用負担や賠償義務その他法的責任が生じる可能性があります。

また、近年においては、一般的にこれら環境等に関する規制は強化される傾向にあります。今後において環境等に関する新たな国内外の法規制等が制定される可能性は否定できず、そのような場合、当社グループにおいて、これら法規制等への対応のために新たな環境保全コストの負担や税負担等が生じることが予想され、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

今後の環境規制等の強化に伴うリスクに備え、当社グループでは、再生可能エネルギーの利用推進による温室効果ガス排出量の削減や、生産技術改善による規制対象物質使用量の削減等、環境負荷低減の取組みを進めております。

15. 自然災害、事故等の発生について

当社グループの各製造拠点において、台風、豪雨、地震、津波又は火山活動等の自然災害や、事故、火災、感染症、テロ等が発生した場合、設備の損壊や給水・電力供給の制限、人的被害等の不測の事態により生産が停止し、製品の製造・販売に支障を来す可能性があります。当社グループの主要製造拠点において、上記の自然災害、事故、火災等に見舞われた場合には、製造・販売活動に支障を来たし、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

これら自然災害、事故等のリスクへの対策として、当社グループではBCP(事業継続計画)を策定し、設備耐震・免震対策、資材予備品の備蓄、防災備品・備蓄品の整備、操業再開手順の明確化、訓練等の対策を推進しています。これらの対策の進捗や内容見直しについては、毎年、全社的な会議であるBSC(Business Security Committee)で報告され、経営陣のレビューを受けています。

16. 企業買収について

企業買収を実施する場合、急速な事業環境の変化による買収した企業の急速な業績悪化、のれん減損といった不測の事態が生じ、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を受ける可能性があります。

当社グループは、企業買収の実施を検討する際には、買収先企業の財務内容等についてデューデリジェンスを行い、事前にリスク回避するよう努めてまいります。

17. 新型コロナウイルス感染症について

足許の新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、当社グループの従業員の罹患による操業低下、世界的な経済活動の停滞等により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、新型コロナウイルス感染症への対応として、感染リスクの徹底抑制のため、一部地区でのテレワーク勤務や感染予防対策、従業員のワクチン接種の奨励等、有効と考えられるあらゆる対策を実施してまいります。現時点では各製造拠点で支障なく操業を維持しておりますが、仮に感染状況が拡大し、当社グループの一部の生産工程で集団感染が発生する等の事態により操業に影響が出た場合には、当該工程の勤務シフトの調整や人員再配置等により、操業や経営成績等への影響を最小限に抑えるべく対策を講じます。

18. 上記以外のリスクについて

当社グループは、事業環境の変化等により、以下のような事態が生じる場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼすことが想定されます。

  • a.事業環境の大幅な変化により事業及び組織の再構築等が必要となる事態が生じる場合。
  • b.退職給付債務の計算に関して、数理計算上の前提条件の大幅な変化が生じる場合。
  • c.経済環境の変化等により、収益が悪化し、又は将来の収益の見積りが大幅に変動する等により、会計上の対応が必要となる場合。
  • d.当社グループの事業に必要な人材を確保できない場合。
  • e.当社グループの製品の不具合等に起因する争訟やその他の争訟が生じた場合。
  • f.内部統制が有効に機能しない事態が生じる場合。