SUMCOのDXへの取組み

SUMCOは、SUMCOビジョンのもと、デジタルトランスフォーメーション(DX)分野でもトップを走る会社を目指しています。2018年にAI推進本部を設置して、生産工程のステージごとに品質情報とプロセス情報をビッグデータ化し、高生産性・高品質化への解析や予測をリアルタイムで行える体制を構築するなど、積極的な取組みを展開してきました。また、設備生産性と労働生産性の改善にも取り組んでおり、需要の一番大きなコモディティー領域の競争力を向上させ、収益基盤の強化を図っています。

DX推進戦略

当社では、生産工程のリアルタイムモニタリング、自動化を実現し、市場の需要変動にも柔軟に対応できる生産体制・生産計画の確立を図るとともに、AI活用の領域を広げて、先端品領域の迅速なデータ解析を実現し、開発から量産確立までの生産立ち上げスピードを速めることにより、組織全体のアジリティー(俊敏性)と競争優位性を高めるべく、DXを推進しています。

戦略

実績と達成度

高精度品対応AI管理システムの構築

具体的な取組みの一例としては、まずRTM(リアルタイムモニタリング)データを用いたAI判定による自動分析・判定システムの構築が挙げられます。従来、良品判定には熟練エンジニアによる手作業が必要でしたが、本システムを構築したことでこの作業が自動化され、高精度品の歩留まり向上と品質改善に大きく貢献するとともに、エンジニアの作業時間を2,500時間/年以上削減することに成功しました。

高精度品対応AI管理システム

DXツール等による業務効率化

当社では、BIツール※1やRPA※2、ワークフローシステム※3等、業務効率化をサポートするツールをDXツールと総称し、工場や間接部門への導入を積極的に進めています。
この結果、約163,000時間/年以上の業務効率化を実現しました。
今後も各種DXツールの導入と普及で、業務効率化に加え、製品品質の向上を進めていきます。

DX教育

当社がより企業価値を向上させ競争優位性を確⽴するためには、各業務のプロセスの⾰新を通して、その効率性を向上させることが必要不可欠です。そのためには、社員⼀⼈ひとりが、スキル向上に努め、あらゆる課題を⾃分事として捉えて、課題解決に向け、チャレンジすることが求められます。当社では、DX推進は課題解決をサポートする重要な手段であると位置付け、すべての社員がDXに取り組むことができるようDX教育に注力しています。
1)部門SE制度
工場の各部門から、非IT人材を社内留学生としてAI推進本部に受け入れます。製造・業務で必ず利用する実践的なIT・DXツールの教育・研修を実施したあと、受講者は自部門に戻り、DXを継続的に推進する中心人物として活躍しています。この制度は2021年から開始し、約40名の卒業生を輩出しました。
2)IT座談会プロジェクト
プロジェクトメンバーは間接系の各部門より推薦された社員で構成され、IT・DXの勉強会を定期的に実施しています。当プロジェクトメンバーは、学びの実践として、課題発掘から改善までのPDCAサイクルに基づきながらIT・DXツールを利用した業務改善を実施し、それに対して、システム部は伴走型でサポートをしています。また、当プロジェクトメンバーは、業務改善の成果物を所属部門に展開し、自部門内の新しい取組みにチャレンジしています。当プロジェクトは2023年から開始し、現在、2期生の業務改善を継続して実施しています。
3)全社員向けのDX教育とIT資格取得の奨励・インセンティブ
当社は、全社員のDXスキル向上を目指したDX教育を展開しています。IT・DXツールの基本的なスキルの向上はもとより、当社におけるIT・DXの必要性の理解、IT・DXリテラシーの底上げと、新しいことにチャレンジする文化の醸成を目的とした教育を実施しています。また、国家資格である情報処理技術者試験の合格報奨金を充実させ、社員の自己啓発・スキル習得に応える制度を整えています。

DX認定の取得

以上の取り組みにより、当社は経済産業省のDX認定制度の「DX認定事業者」(デジタルによって自らのビジネスを変革するためのビジョン・戦略・体制等が整ったと認定された事業者)に選ばれています。

DX認定

ニューノーマル時代の働き方へのアジャイルな順応

コロナ禍以前からBCPの観点で整備されてきたセキュアな利用環境を活用し、東京地区においては、一回目の緊急事態宣言に先立つ2020年4月初から完全テレワークを実施しました。(現在は、オフィスワークとテレワークの併用)
経営判断に関わる会議でもWeb会議ツールを活用し、導入済の電子決裁システムを用いてシームレスな経営を続けています。
今後も、新しい時代の働き方に順応し、加えてダイバーシティの高次実現を目指す施策を続けていきます。

  • ※1BIツール(BI=Business Intelligence)
    さまざまなデータを集積し分析を行い、現場や経営の意思決定をサポートするツール
  • ※2RPA(RPA=Robotic Process Automation)
    コンピューター上で行われる業務プロセスや作業を人に代わり自動化する技術
  • ※3ワークフローシステム
    組織内の様々な申請を電子化して、効率的に承認・回覧するためのシステム