人権の尊重
- 人権尊重の基本方針
-
SUMCOグループは、基本的人権を尊重することも企業の重要な社会的責務であると考え、「人を大切にする」企業であるべく、SUMCO行動憲章やSUMCO CSR方針のもと、SUMCOグループに関わるすべてのステークホルダーの人権を尊重するため、様々な取り組みを行っています。
2023年には、SUMCOグループの人権尊重に向けた方針を明文化するため、「SUMCO人権方針」を制定し、国際人権章典や、労働における基本的原則及び権利に関する ILO 宣言、国連のビジネスと人権に関する指導原則などで国際的に認められた人権を尊重することを宣言して、関連方針・規定にて本方針のルール化など人権尊重に向けた取組みの更なる推進を図っています。また、かかる取組みの推進にあたっては、RBAの定めるRBA Code of Conduct(RBA行動規範)も参照しています。
なお、これらの方針は従業員が理解可能な言語へ翻訳されるとともに、教育・研修を通じて全従業員に周知され、SUMCOグループ全体での人権尊重意識の向上を図っています。
またお取引先の皆様に対しても、SUMCO CSR調達方針に基づき、人権の尊重に向けた取組みの実施をお願いしています(詳細については、サプライチェーンのページをご覧ください)。SUMCO人権方針で掲げる重点テーマ
- 強制労働、その他一切の非自発的な就労の禁止
- 児童労働の禁止、および年少者の危険な労働への従事の禁止
- 労働時間、休日、賃金などに関する労働関係法令の遵守
- 人種、宗教、性別、国籍、出身、年齢、性的指向、障がいをはじめとした、あらゆる要因による差別の禁止
- ハラスメント、誹謗・中傷などの禁止
- 個人情報の適切な管理、プライバシーの保護
- 結社の自由の尊重
- 安全かつ衛生的な労働環境の提供
- 公害の防止を含む環境法令の遵守
- 品質と信頼性の追求
人権啓発研修
国内SUMCOグループでは、人権意識向上のため、人権啓発推進委員会を毎年開催し、人権啓発に関する活動方針や内容を確認しています。各拠点・グループ会社は、ここで定められた活動方針に沿って活動を展開し、外部専門家による講演会や視聴覚教材を用いた啓発研修等の人権啓発活動を実施しています。
人権啓発研修で取り扱った主なテーマ
- 多様性の尊重(特に性別・性的志向等)
- 高齢者と人権
- パワーハラスメント
- セクシュアルハラスメント
- 職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント
- 職場におけるメンタルヘルス問題
- 当該年度の相談窓口への相談件数、ハラスメント等の内容を踏まえた対策
通報・相談窓口の設置
SUMCOグループでは、SUMCO人権方針にて、事業活動が人権への負の影警を引き起こし、または助長したことが明らかになった場合は、適切かつ効果的な手段を講じてその救済・是正に取り組むことを掲げており、かかる救済・是正のための施策の1つとして、社外弁護士への通報が可能な内部通報窓口に加えて、各拠点に人権侵害やハラスメントに関する相談を受け付ける窓口(ハラスメント相談窓口)を設置しています。
各拠点に設置しているハラスメント相談窓口には、従業員がいつでも気軽に安心して相談できるよう男性相談員、女性相談員をそれぞれ配置しており、(1)相談者のプライバシーの保護、(2)関係者への不利益な取扱いの禁止、(3)相談に対して公平に対応する、ことを原則とし、特に相談の事実の秘匿のためにメールや電話での相談を受け付けています。受け付けた相談は担当部門で調査を行い、実態に即した改善策・再発防止策を講じ、結果を経営に報告すると共に相談者へフィードバックを行っています。
またハラスメント事案はプライバシーに十分配慮した上で人権啓発委員会において共有化し、全社的な再発防止策に役立てています。
なお、2023年のハラスメント相談窓口への相談件数は18件でした。
- ハラスメント相談窓口体制図
-
人権デューデリジェンスの実施
SUMCOグループでは、新規事業を検討する場合だけでなく、既存の事業活動についても、人権への負の影響・リスクを特定・評価して人権への負の影響を防止・軽減するため、人権デューデリジェンスを定期的に実施することと、外部専門家やステークホルダーなど対話することを、SUMCO人権方針において明記しています。
2023年度に実施した人権デューデリジェンスでは、当社の事業活動が引き起こす人権への負の影響について、外部専門家・ステークホルダーとの対話等も行い、調査を行いました。抽出された人権への負の影響のうち以下のものについては、是正・救済に向けた対応が必要と評価し、精力的に対策に取り組むこととしました。
状況・評価 | 対策 | |
---|---|---|
労働災害の発生 | 2023年度には7件の休業災害が発生した。 | 労働災害ゼロの達成を目指して、ISO45001に基づく労働安全衛生マネジメントシステムの整備・強化や、安全衛生に関するコミュニケーションと教育・訓練のさらなる強化を図る。 |
ハラスメント事案の発生 | 2023年度はハラスメント相談窓口への相談件数が18件発生した。 | SUMCO行動憲章教育やハラスメント研修などの教育の強化、および全社的な再発防止策のさらなる充実を図る。 |
労働時間管理の不備 | 勤怠管理システムに入力された勤務時間とタイムカードの打刻時刻に相違があった。 | 労務管理体制の強化と情報共有を通じ、グループ全体で適切な労働時間管理の徹底を図る。 |
また各種法令への違反や人権侵害となる事象の発生については、当社の事業継続に支障をきたすリスクとして想定し、リスク管理基本規定に基づいてリスクの評価と対策の策定も行っています(詳細はリスクマネジメントのページをご覧ください)。
子どもの権利の尊重、非自発的な就労の禁止
当社では、児童労働の禁止およびあらゆる子供の権利を尊重することを人権方針に掲げており、児童労働を防止するべく雇用時に公的身分証による年齢確認を行っています。
また強制労働をはじめとするあらゆる非自発的な就労の禁止に向け、労働者が自由にSUMCOグループでの就労を選択できるよう、RBA行動規範や各国際規範も参照し具体的な指針を制定しています。なお当社では、これまで児童労働、強制労働に関する問題は発生しておりません。
労働時間や休日の適切な管理、適正な給与
SUMCOグループでは、ILO労働原則を踏まえ、各国の労働基準法規の遵守に努めています。行政機関から労働基準違反案件の指導を受けた場合は、経営幹部、監査等委員に報告すると共に、その是正対応を迅速にグループ全体に展開し、注意喚起と再発防止に努める体制を整えています。
SUMCOグループでは、適正な労働時間運営と従業員のワーク・ライフ・バランス実現のため、日々の労働時間を随時把握するための勤怠管理ツールの活用や、実際に就労を管理する管理職へのマネジメント研修などを実施し、適正な労働時間運営の展開に繋げているほか、AIテクノロジー・データサイエンス・IoT技術に基づく生産性改善やDXツールの展開による業務効率化にも注力しています(AIやITを活用した取組みの詳細については、「SUMCOのDXへの取組み」をご参照ください)。
また、SUMCOグループでは、所在国の最低賃金を定めた法令に従い、現地の生活物価等を踏まえ、従業員に対して適正な給与を支払うことを遵守しています。当社では、会社で従事する業務に応じたコース別制度で従業員の処遇体系を区分し、「同一労働・同一賃金」の方針のもと、それぞれの保有能力や実績・貢献度に応じて適正に処遇しており、性別の違いで差異を設けておりません。なお当社の2023年度の一人あたりの平均年収は6,790千円でした。
- <過去3カ年の実績>
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|
一般社員における月平均時間外労働時間 | 19.1時間 | 19.6時間 | 11.0時間 |
社員の年休取得率 | 81.1% | 76.0% | 82.4% |
良好な職場環境の維持・向上
当社では、全従業員に対し、定期的に各種ハラスメント教育をはじめ、あらゆる差別防止を目指し、研修の機会を利用して職場での意識向上に努めています。
毎年、健康管理の一環として実施しているストレス調査では、従業員の満足度の項目にも着目し、調査を行うことで職場環境改善に向けた活動を行っています。その一環として、当社では、ハラスメント事例の撲滅に向け各地区研修で管理職・管理者に対してハラスメント研修を実施しており、2023年度の受講者総数は1,150名でした。
また、あらゆる雇用差別の撲滅を目指すべく、米国雇用機会均等委員会:EEOC(Equal Employment Opportunity Commission:米国)のセミナーや、ADA(Americans with Disabilities Act)のtrainingセミナーに参加するなどの取組みを積極的に進めております。
さらに、SUMCOグループでは、常に働きやすい職場環境を維持・向上するための取り組みの一環として、各拠点において、職場のコミュニケーションを活性化すべく、各拠点で様々な社内レクリエーション等を通じた社員同士の交流を深めています。
労使関係
当社グループでは事業活動を行う各国・各地域の法令に基づいて、従業員の結社の自由や従業員の団結権と団体交渉権を尊重しながら、労使の信頼関係の強化を図っています。
例えば国内では、締結している労働協約の中には、各種ルールに加え、労使間の問題については、相互理解と信頼に基づき、会社の永続的な発展と労働条件の向上に向けて、団体交渉・話し合いを基調として解決を図ることを基本方針とし、組合が団結権、団体交渉権、争議権を保有することを認めると明記しています。
そのために労使経営懇談会を原則として年2回開催して労使間でのコミュニケーションを図り、情報・課題を共有しながら事業運営を進めています。
また、毎月1回生産説明会・労使懇談会を開催し、各工場においても労働組合支部と生産状況等を含む情報・意見交換を行っています。
その他、労働条件や諸制度の見直し等の重要な労使課題については、多面的・総合的・長期的な観点も踏まえ、年間を通して「労使検討委員会」を開催し、労使一体となって取り組んでいます。当社並びに国内グループ会社の社員に占める労働組合員の比率は90%です。
福利厚生制度
当社および国内グループ会社では、福利厚生制度の中で将来を見据えた保障として、国の社会保障制度に加えて、健康保険組合の付加給付などの制度、さらには個人の意思で加入を選択できる福利厚生制度として、当社および国内グループ会社の全社員を対象とする持株会やつみたてNISA、財形貯蓄、グループ生命保険などを整備しています。